日本の近海には1000種以上のカニが生息しているといわれていますが、日本で食べられているのは、ほとんどがタラバガニ、ズワイガニ、紅ズワイガニ、毛ガニ、花咲ガニの5種類です。
冬の味覚の王様、かにの魅力はなんといっても香りと食感です。甘~い「カニ刺し」、香ばしい「焼きがに」、ダシの効いた「カニすき」など食べ方もさまざまです。
カニは単に美味しいだけではなく栄養素が非常に豊富です。高タンパクで低脂肪、アミノ酸、多くのビタミン類、タンパク質、葉酸、カルシウムなどが含まれていて、カニは健康食材といっても過言ではありません。
また、カニにはそれぞれ旬の時期があって、その種類によって異なります。
カニの種類と旬の時期など
タラバガニとは?名前の由来・産地・旬を解説

タラバガニは、英語名で「レッドキングクラブ(Red King Crab)」と呼ばれ、その名の通り“かにの王様”として知られています。大きく太い脚と食べごたえのある身が特徴で、食用としても非常に人気の高いカニです。
名前の由来は、もともとタラ(鱈)の漁場と同じ海域に生息していたことから「鱈場蟹」と呼ばれるようになったとされています。ただし、生物学上はカニではなく、ヤドカリの仲間に分類されます。
主な生息域は、オホーツク海、ベーリング海、アラスカ沿岸などで、水深30〜350メートルほどの砂泥底に生息しています。日本で流通しているタラバガニは、ロシア産・カナダ産・アラスカ産が多く、国内では北海道で水揚げされるものが知られています。北海道産のタラバガニは流通量が少なく、貴重な存在といえるでしょう。
タラバガニの旬は年に2回あります。ひとつは、流氷が去って甘みが増す4月〜6月頃です。暖かくなると海岸近くまで移動する習性があり、この時期に漁が行われます。もうひとつは、脱皮を繰り返して身がしっかり詰まる11月〜翌年2月頃です。特にこの時期のタラバガニは「堅ガニ」と呼ばれ、食べごたえを求める人に人気があります。
タラバガニの特徴と近縁種|アブラガニとの違いも確認

タラバガニは、堅い甲羅に覆われた大きな体と、太く立派な脚が特徴です。脚は左右に5対あり、第1脚はハサミ状になっています。また、右の爪のほうが左より大きい点も特徴のひとつです。
成長には長い時間がかかり、成熟するまでにおよそ10年かかるといわれています。寿命は、オスが約31年、メスが約34年と推定されており、長い時間をかけて大きく育つカニです。
タラバガニによく似た近縁種には、アブラガニ、花咲ガニ、イバラガニなどがあります。中でもアブラガニは見た目がよく似ているため、混同されやすい存在です。見分けるポイントとしては、甲羅中央の突起の数があり、タラバガニは6個、アブラガニは4個とされています。また、脚の裏側の模様も違い、タラバガニは第2関節あたりまで赤い模様があることで見分けられます。
過去には、アブラガニをタラバガニとして販売する業者が問題になったこともあり、区別するために「本タラバガニ」と呼ばれることもあります。
近年は、乱獲などの影響によって資源量が減少しているとされ、価格も高騰傾向にあります。そのため、今後もタラバガニの価格や流通量には注目しておきたいところです。特に通販で購入する場合は、産地・内容量・価格だけでなく、「本タラバガニ」と明記されているかどうかも確認しておくと安心です。
ズワイガニとは?生息域・産地・旬の時期を解説

ズワイガニは、日本海からオホーツク海、ロシア東岸、ベーリング海、カナダ沖などの広い海域に生息するカニです。日本では、兵庫、鳥取、福井、石川、新潟、北海道などで水揚げされており、冬の味覚を代表する高級食材として親しまれています。
日本で食用として流通するズワイガニは、大きく分けると「オピリオ種」と「バルダイ種」があります。オピリオ種は日本海からオホーツク海にかけて生息し、細身でスマートな姿が特徴です。一方、バルダイ種は北海道オホーツク海、ロシア東岸、ベーリング海、カナダ沖などに生息し、脚が太く、ずっしりとした体つきをしています。どちらもズワイガニとして食用にされており、近縁種には紅ズワイガニがあります。
日本でズワイガニ、特に本ズワイの二大産地といわれるのが兵庫県と鳥取県です。近年はこの2県だけで国内漁獲量のおよそ4割を占めており、全国的にも重要な産地となっています。かつては兵庫県が2002年から15年連続で全国1位を続けていましたが、2017年には北海道に抜かれて2位となり、鳥取県にも迫られました。その後、2018年には兵庫県が再び1位に返り咲いています。
しかし近年は、資源減少の影響で全国的に漁獲量が落ち込み、産地間の差も小さくなっています。令和5年、つまり2023年の確報では、鳥取県が533トンで全国1位、兵庫県が524トンで僅差の2位となっており、両県が拮抗しています。一方で、2017年前後に上位へ入っていた北海道は、2023年には75トンまで大きく減少しています。
ズワイガニの旬は、雄と雌で少し異なります。日本海側で獲れる雄のズワイガニは、11月から3月頃が旬の目安です。雌は資源保護の観点から漁期が短く、11月から12月頃が旬とされています。刺身、焼きガニ、カニ鍋、蒸しガニなど、さまざまな食べ方で楽しめるのも、ズワイガニの大きな魅力です。
ズワイガニの種類とブランド名|松葉がに・越前かにとの違い

ズワイガニは、地域によってさまざまな名前で呼ばれており、特に北陸から山陰地方で水揚げされるものは、地域ブランドとして高く評価されています。代表的なブランドには、鳥取や島根など山陰地方で知られる「松葉がに」、福井県の「越前がに」、京都府の「間人ガニ」、兵庫県の「津居山ガニ」、石川県の「加能ガニ」などがあります。
これらはすべてズワイガニですが、水揚げされた地域や漁港、管理基準によってブランド名が付けられています。中には1杯で数万円するものもあり、冬の高級食材として贈答用や特別な食事にも選ばれています。
スーパーや通販などでは、オピリオ種とバルダイ種が細かく区別されずに「ズワイガニ」として販売されていることも少なくありません。バルダイ種は脚が短めで太く、全体的にずっしりとした姿をしているのに対し、日本海側で水揚げされるオピリオ種は比較的細身で、すらっとした見た目をしています。どちらもズワイガニとしておいしく食べられますが、ブランドガニとして購入する場合は、産地やタグの有無を確認することが大切です。
特に「松葉がに」や「越前がに」などのブランドガニは、各地域の漁協などが発行するタグによって産地や品質が管理されています。そのため、本物のブランドガニを選びたい場合は、ブランドタグが付いているかどうかを確認すると安心です。価格の安いズワイガニを有名ブランドのように見せて販売するケースもあるため、通販で購入する際は、産地表示や販売店の信頼性もよく確認しておきましょう。
また、北陸や山陰地方のズワイガニには、甲羅に黒い粒のようなものが付いていることがあります。これはカニビルの卵で、人間に害はありません。カニビルは堅い場所に卵を産み付ける習性があるため、甲羅にカニビルの卵が付いているズワイガニは、脱皮から時間が経って甲羅が堅くなった「堅ガニ」である可能性があります。堅ガニは身がしっかり詰まっていることが多いため、あえて黒い粒が付いたカニを選ぶ人もいます。
ズワイガニを選ぶときは、価格だけで判断するのではなく、産地、ブランド名、タグの有無、身入りの状態を確認することが大切です。特に通販で購入する場合は、「どこで獲れたズワイガニなのか」「ブランドタグは付いているのか」「本ズワイガニなのか紅ズワイガニなのか」を確認しておくと、失敗を防ぎやすくなります。
| 名 称 | 地域名・漁港 |
| 加納ガニ | 石川県・金沢、輪島漁港など |
| 越前ガニ | 福井県・越前、三国、敦賀、小浜の各漁港 |
| 間人ガニ | 京都府丹後町・間人漁港 |
| 香住ガニ | 兵庫県香美町・香住漁港 |
| 柴山ガニ | 兵庫県香美町・柴山漁港 |
| 津居山ガニ | 兵庫県豊岡市・津居山漁港 |
| 浜坂ガニ | 兵庫県新温泉町・浜坂漁港 |
| 鳥取松葉ガニ | 鳥取県 |
| 隠岐松葉ガニ | 鳥取県 |
| 名 称 | 地域名 |
| 香箱ガニ | 石川県 |
| セイコガニ | 福井県 |
| コッペガニ | 兵庫県、鳥取県、島根県など |
| 親蟹 | 鳥取県 |
| セコガニ | 山陰地域 |
毛ガニの旬

北海道民が愛する毛ガニは、一年を通じて全道各地で毛ガニが水揚げされています。水揚げされる時期がそれぞれの地域で異なっている為、その時々に水揚げされている、旬のおいしい毛ガニを食べることができます。

(出所:北釧水産サイト)
毛ガニの旬の時期は、オホーツク海エリアでは3~8月頃、根室・釧路・十勝地域は1~4月と9~12月頃、襟裳岬がある日高地域では11~2月頃。
そして苫小牧、室蘭、長万部が面する噴火湾地域は6~8月頃、そして日本最北端地域の宗谷地方では1~7月頃となっています。
毛がには日本海沿岸、太平洋側では茨城県以北からオホーツク海、ロシア、アラスカ沿岸まで広い海域で生息しています。
脱皮を繰り返しながら成長する毛ガニは、資源保護の観点から甲長8cm以下の毛がには海に返し、また雌の毛がには捕獲禁止にすることで安定供給に努めています。
その中でも流氷によってもたらされる栄養豊富なプランクトンを食べて成長する流氷明けの毛がには、蟹味噌も濃厚な味わいで、身もぎっしり詰まっていてそれは美味しいとされています。
特に北海道産は身が締まっていてカニ味噌も多く、高級蟹として料亭や割烹などで供され、百貨店やスーパーなどで販売されています。
茹で蟹、蒸し蟹、かに鍋、刺身など毛がに料理は多彩です。
花咲ガニとは?北海道で水揚げされる希少なカニ

花咲ガニは、北海道の根室沖で漁獲され、花咲港に水揚げされることが名前の由来とされているカニです。分類上はタラバガニの仲間で、近縁種にはタラバガニ、アブラガニ、イバラガニなどがいます。
主に北海道の根室や釧路で水揚げされますが、現在は漁獲量が非常に少なく、かつてと比べても大きく減少しています。生息地域も限られているため、一般の市場にはあまり多く出回らず、「幻のカニ」と呼ばれることもあります。
花咲ガニはタラバガニよりやや小ぶりですが、トゲや突起が長く鋭いのが特徴です。茹でると鮮やかな赤色に変わり、見た目にも華やかです。その堅い殻の中には、甘みとコクのある身がしっかり詰まっており、他のカニとは違った力強い味わいを楽しめます。
味の特徴は、濃厚な旨みと甘み、そしてエビのようなぷりぷりとした食感です。カニ通の間でも評価が高く、特に花咲ガニのメスが持つ外子や内子は珍味として知られています。
花咲ガニの旬と食べ方|濃厚な味わいと鉄砲汁の魅力

花咲ガニの漁期は、主に7月から8月頃です。旬は8月から9月頃とされ、カニの中では珍しく夏から秋にかけて楽しめる存在です。ただし、水揚げ量が少ないため、北海道以外では流通が限られており、見かけたときが食べどきといえる貴重なカニです。
食べ方としては、塩茹でや塩焼きが一般的です。濃厚な旨みを持つ花咲ガニは、シンプルに調理するだけでも十分においしく味わえます。また、鮮度の良いものは刺身でも楽しめ、甘くぷりぷりとした身の食感を堪能できます。
花咲ガニを使った料理として有名なのが「鉄砲汁」です。鉄砲汁とは、花咲ガニの殻付きの脚を入れて作る味噌汁のことで、カニの旨みが汁全体に広がる郷土料理として親しまれています。一般的なカニの汁物は「カニ汁」と呼ばれますが、花咲ガニを使ったものは特に「鉄砲汁」と呼ばれることがあります。
花咲ガニは、流通量こそ少ないものの、濃厚な身の味わい、ぷりぷりとした食感、そして外子や内子の珍味まで楽しめる魅力的なカニです。タラバガニやズワイガニとはまた違う、力強く深い味わいを求める方には、ぜひ一度味わってほしい北海道ならではの味覚といえるでしょう。
その他の珍しいカニ
注目を浴びるイバラガニ

イバラガニって知っていましたか?
このカニは、深海(水深450~700メートルあたり)に棲んでいるのでなかなか獲ることができず、私たちの目に触れることはまずありません。もちろん漁獲量も非常に少ない蟹です。
見た目はタラバガニに似ているイバラガニの身は独特の甘味があり、とってもクリーミーな味わいです。
タラバガニと比較すると身が小さめであるためあっさりとした味わいで、食感などが物足りないと感じる方も多いようです。
しかし、タラバガニに似た旨味がカニ肉の繊維一本一本にギュッと詰まっていて、食べた時に身の繊維から溢れる甘みに驚きます。
このようにイバラガニの味はとっても美味しいのですが、知名度がないため取り扱う店舗が少なく、市場に流通していませんでした。
ところが、最近ズワイガニやタラバガニの漁獲高が減ってきていることもあって、これらの蟹の代用として、今イバラガニが注目されているのです。
イバラガニと言われている殆どはエゾイバラガニ、イバラガニモドキなどの近縁種が多く、市場で流通する数少ないイバラガニはほとんどイバラガニモドキと呼ばれる種で本種ではないそうです。
イバラガニの近縁種にはタラバガニ、アブラガニ、花咲がになどがいます。
アブラガニ

タラバガニとよく間違えられるアブラガニも名前に「カニ」とありますが生物学上ヤドカリの仲間に分類されます。
アブラガニの甲羅には4個の突起があり、6個のタラバガニと区別できますが、その他にも脚の裏側が真っ白ということでも識別が可能です。
活蟹の時は全体的に青味を帯びていることから、英語名は「Blue King Crab」と呼ばれています。黒紫色のタラバガニとは少し色が違います。
漁期は1月-6月で味は濃厚でほんのり甘い食感です。
以前、札幌の二条市場や有名デパートなどでアブラガニをタラバガニとして偽装販売したことで問題となりましたが、それを契機に知名度が上がって、しかもタラバより安価ということで人気が出始めています。
アブラガニの近縁種にはタラバガニ、花咲ガニ、イバラガニなどがいます。
